幹細胞培養上清液/ISCとは
昨今、再生医療の中心は幹細胞(Stem Cell)であり、その一つであるiPS細胞やES細胞などはよく耳にするようになったと思います。もちろん体内にも幹細胞はあり、『幹細胞』を研究、利用することで、多くの疾患に対処することが期待されています。これからも医療の中心となっていくものでしょう。その幹細胞とは『自己複製と様々な細胞に分化する能力をもつ特殊で優秀な細胞』です。どちらも組織再生には欠かせない要素です。そしてその重要な働きとして、100種類以上のサイトカイン(細胞間の橋渡しをする化学物質)の他、脂質、核酸など多くの生理活性物質を幹細胞自身が分泌することにあります。その物質は周囲の幹細胞や組織に対して働きかけることができます。
このような優れた細胞を自由に使うことができれば最善ですが、幹細胞を取り扱う施設が限られていること、費用も安価にはならないこと、幹細胞そのものを扱う際の様々な注意があることから、なかなか一般には普及していません。しかし、そのような現状がある中、考えられたのが幹細胞培養上清液(ISC:Improved Stem cell Conditioned medium)というものです。これは、上記したような幹細胞自身が分泌する成分のみを抽出したものを治療として使用するのです。つまり”細胞そのものを投与するということがない再生治療”となるのです。
【一般的に期待されている効果】
幹細胞培養上清液の成分サイトカイン
幹細胞は周囲組織の成長や増殖、活性化を促すサイトカインと呼ばれる物質を数も種類も豊富に産生することができます。サイトカインはインターロイキンやリンフォカイン、モノカイン、ケモカイン、細胞増殖因子など様々な名称で呼ばれるものですが、どれも健康、病気に関わらず生体に必要なものです。分泌されたサイトカインは、特に損傷を受けた組織や劣化した細胞機能の回復を促します。また炎症性サイトカインというものもあり、炎症のコントロールに関わっています。
サイトカイン(幹細胞培養上清液/ISC)の美容利用
では、美容における再生医療とは、どのようなことを狙うのでしょうか。まずはやはり「老化」ということに対しての作用です。人の細胞は遺伝的な老化と緩衝されて起こる老化(光老化など)があります。後者の老化の影響が大きいほど組織的な老化は早いことが推測されます。特に肌は外界から紫外線や刺激などに常日頃からさらされている組織です。さらに言うと体内環境(血流やホルモンなど)にも影響を受ける組織です。特に肌にとって炎症は大敵で、その抑制効果のあるサイトカインが豊富にあれば、無駄な劣化を軽減させることが可能なのです。
また、老化は組織や細胞の機能的な劣化です。その劣化の果てがしみやしわ、たるみ、ハリ不足といった肌の悩みとなるのです。であれば、細胞機能の回復を促すサイトカインがあるに越したことはありません。しかし残念ながら自己の幹細胞は年齢とともに減少します。つまり修復機能は落ちて当然ですので、そこでサイトカイン(幹細胞培養上清液/ISC()を投与するということに意味があるのです。また、レーザーやフォトフェイシャル、RFなど照射系の治療と併せて投与することも良いでしょう。特に組織損傷を伴う処置の後、損傷を治す過程でサイトカイン(幹細胞培養上清液/ISC)があることで、より早く、スムーズに回復することが期待できます。
しかしここで勘違いしてはならないことがあります。幹細胞培養上清液において、特に美容的な変化、効果の現れかたは直後のものではないということです(疲労回復に対しての点滴効果は直後から感じることが多い)。幹細胞培養上清液はあくまでも組織や細胞で使われるものです。幹細胞培養上清液の各有効成分がそれぞれ使われて、組織・細胞の機能的な変化の上での"美"というものです。簡単に言うと『肌を修復し育てる』というものです。だからこそ肌の変化を見る時は、幹細胞培養上清液注射直後ではなく、数回行い、その後の経過をみるものです。
対象となるお悩み
幹細胞内容上清ISCの投与方法
当院では以下の方法で幹細胞培養上清液/ISCを投与しております。点滴と皮下注射は同製剤を、メソポレーションは専用の製剤を使用します。皮下注射においてはヒアルロン酸注射やリジュラン注射と併せてご使用することも可能です。
- ①点滴
約30分の点滴となります。 - ②皮膚内注射
水光注射と同じように顔全体に細かく注射していきます。非架橋ヒアルロン酸1mlに製剤を溶かして使用します。その他非架橋ヒアルロン酸製剤やリジュラン注射と併用することも可能です。顔以外の注射も可能です。ご相談ください。 - ③メソポレーション
メソポレーションでは、専用の製剤を使用します。修復を主体とした『リメイク』コースに配合されています。オプション(別途料金)として他コースに配合することも可能です。
幹細胞培養上清液/ISCの安全性
当院で使用するISCの大元となる幹細胞は、米国FDAの手順に準拠した米国20代女性ドナー(身元がわかっている)から組織を採取しています。そして日本国内施設(大学)において、特殊な方法(AGEL法)により、その幹細胞を培養、さらに培養細胞から分泌された抽出物を回収し、フリーズドライ加工したものが製剤となっています。
幹細胞培養上清液/ISCの副作用
アレルギーによる赤み、かゆみ、皮下出血、しこりなど
※あくまでも副作用は考えられるものであり、必ずでるものではありません。ご不安なかたは診察時、医師にご相談ください。
Q&A
- 感染症のリスクはありますか?
- 細胞そのものを使用することがないため、感染症のリスクはありません。またドナー提供の細胞、さらには培養した細胞の検査も徹底しております。
- 肌についてすぐ現れる効果はありますか?
- 変化がみやすいものとして赤ら顔や乾燥肌があると思いますが、基本的に幹細胞培養上清液の成分が細胞で使われて、細胞機能が回復し、組織全体が変わるという考えの製剤です。本来の評価は継続した後です。ちなみに点滴投与した場合の疲労回復やアレルギー症状の一時的な改善は直後からみられることもあります。
- 関節炎などに効果があると聞きました。投与可能ですか?
- 当院は関節内投与を行っておりません。他施設を探してください。
幹細胞培養上清液/ISCの料金一覧
1回 | |
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点滴(1A) | ¥44,000 |
顔皮膚内注射(1A/非架橋ヒアルロン酸1ml込) | ¥77,000 |