リジュラン注射の効果を感じるために
リジュラン注射の効果を感じるために
当院ではリジュラン注射を、日本導入当初から使い続けています。その中で、リジュラン注射の効果を高く感じるかたと、効果がよくわからないと思うかたがいます。この差は何でしょうか?今回は、効果がわからない理由とリジュラン注射の効果を感じる使い方について、当院スタッフの症例・体験談も踏まえ、考えてみたいと思います。
リジュラン注射の特徴
リジュラン注射の主成分はポリヌクレオチドです。以前より同系統の製剤は、サーモン注射として美容では使われ、馴染みのあるものです。両者とも「DNA代謝物質」というもので、海外医療では、医薬品として、「創傷治癒(傷を治す)促進」に使用されている成分です。DNAと聞くと、遺伝子?異物?と思ってしまうかもしれませんが、リジュラン注射は鮭DNA(ヒトと配列が9割以上一致)より抽出した成分で、その一部です。生体適合性、安全性ともに高いものであり、DNAそのもの、はたまた細胞を使うわけではなく、あくまでも「核酸」という一成分が主成分となります。リジュラン注射のポリヌクレオチドは、サーモン注射のPDRN(ポリヌクレオチドリボヌクレオチド)よりも作用持続性があり、作用効果が高いとして注目されている成分です。
リジュラン注射は何を狙う美容治療?
リジュラン注射の一番の目的は「コラーゲン生成促進」です。コラーゲン回復は、肌のハリ不足やしわ、たるみ、毛穴開きなど様々な肌の悩みの解消につながります。DNAの一部であるポリヌクレオチドが、肌真皮コラーゲン層にあることで、まず線維芽細胞(コラーゲン線維やヒアルロン酸を産生)のスイッチとなること、そしてポリヌクレオチドは細胞成分として利用される(サルベージ回路)というメリットがあります。また、肌再生には必要な「血管新生作用」も併せ持つのがポリヌクレオチドの特徴です。どれもこれもコラーゲン層にある線維成分には大切な働きです。また、その他に抗炎症作用があるので、乾燥肌や脂性肌などの炎症に伴う赤みにも効果があると考えます。
リジュラン注射の効果を感じないケース
肌に必要な効果が様々得られるリジュラン注射ですが、効果を感じないケースも少々あります。 その理由として考えられるのは、リジュラン注射の主成分ポリヌクレオチドそのものがボリュームとなるわけではなく、肌にある細胞や組織のサポートをすることで、肌が変化するという特徴があるからです。そう考えると治療直後の効果が主体で見らえるという治療ではないということです。肌、特に真皮コラーゲン層関連の変化は、時間を要します。ヒアルロン酸注入やフェイスリフトのような直後の劇的な改善を求めてしまうと、少々がっかりするかもしれません。
そしてもう一つ、肌トラブルや悩みの少ない肌の場合は、効果を感じにくいです。そもそもリジュラン注射は、組織回復、修復型の製剤であるので、もともときれいなダメージのない肌には劇的な効果は感じられないことが予想されます。
しかし、効果を感じないとは言っても、決して無駄ではありません。この場合は「予防」という概念が強くなるからです。肌は、紫外線だけでなく内外からの様々なストレスが常にあるので、目に見えない損傷が意外と多くあります。そのダメージはいずれ目に見えて肌の悩みとなります。リジュラン注射によって、その損傷後の回復がしやすい肌と考えれば、決して効果がないわけではなく、肌悩みが表に現れる前に防ぐ、いわゆる予防(肌調子ももちろん持続する)となるのです。
リジュラン注射の本当の効果判断はいつ?
リジュラン注射は「コラーゲン生成促進」が主な効果ですが、肌表層にもその効果を伝えることも狙っています。直後に感じることができる肌調子の良さは、肌表層への効果と考えられ、ターンオーバーの促進、正常化によるものです。また肌によっては炎症による赤みが、減少することもあります。そして、真皮コラーゲン層への効果は徐々に現れ、肌のハリ、さらには小じわや毛穴開き改善につながるのです。リジュラン注射を単体で行った場合、効果判断の本当の時期は、複数回(当院では2~4週間に一度を3~4回)行ったさらに数か月後というのが基本です。コラーゲン生成が促されて、その結果がしっかりでるには、少々時間が必要ということです。これは、同じ方向性の治療である成長因子やPRP療法、幹細胞培養上清液などの有効成分注射も同様と言えます。
肌トラブルの少ない20代スタッフにリジュラン注射をした後の感想
20代のスタッフにリジュラン注射を3回行い、本人に感想(効果や治療後のダウンタイムなど)を聞きました。
- ■1回目直後は、その効果がわからなかったが、1週間経過したあたりから肌が滑らかになった
- ■回を追うごとに肌全体が滑らになり、見た目もつや感も出て、肌そのものがきれいになった
- ■目の下のしわが気になっていたが、若干改善されたような印象
- ■マスクでの肌トラブルが減ったと思う
- ■1クール3回終えて、4か月経過しても肌調子が明らかに良い
- ■周りのスタッフに艶玉ができているとほめられた
- ■注射直後はぼこぼこ多数の膨らみ(ダウンタイム)あり(下写真)
- ■膨らみは翌日には目立たなくなり、数日、針の跡が少々残るぐらい
いかがでしょうか。20代の比較的トラブルやエイジングの少ない肌であっても、その体感はジワジワと感じられるということです。4か月経過しても調子の持続があるという結果は、リジュラン注射の本質を見ていると思います。
リジュラン注射の効果をさらに引き出す方法
リジュラン注射において、効果を引き出す根底には「創傷治癒(傷を治す)促進」があります。この意味するところは、ダメージのある肌には、一番適応があるということです。しかもダメージ直後、回復期にある組織には一番の適応があるでしょう。そのタイミングとは、美容医療において、大なり小なり組織損傷を伴う施術後となります。フォトフェイシャルやフラクショナルレーザー、カーボンピーリング、レーザートーニング、ダーマペン、高周波などのコラーゲン回復が望める施術後は特に適しています。ちなみにリジュラン注射は、肌表層に細かくたくさん注射していく方法です。ということは、「注射する=損傷、ダメージを与える」と考えられるので、リジュラン注射は単に肌へ成分を入れるだけの施術ではなく、組織損傷を伴わせながらポリヌクレオチドを肌へ入れる施術ということです。
リジュラン注射はメリット高い治療
<美容においても「再生医療」という言葉が出始めており、「きれいで健康な肌作り」という概念が浸透しつつあります。そのためにも、肌組織のための「環境作り(肌質改善・リメイクスキン)」は避けて通れません。土壌が良くなければ、植物が育たないのと同じ事で、肌も、その質が良好でなければ、コラーゲン生成などスムーズにいくわけがありません。その環境作りに様々な美容医療があり、リジュラン注射は有用な一つの方法なのです。これからの肌作り、特に肌のハリ回復やしわ予防、たるみ予防、毛穴開き改善のために、リジュラン注射はメリットの多い、そして理にかなった治療と言えます。